Lotus Notes Dominoについて
Native Domino一発サイジングについて説明する前に少しLotus Notes Dominoについて補足説明をしたいと思います。
Dominoというのは、当時Lotus Dominoと言われたグループウェアのサーバーの名称で、元々は、サーバーもクライアントも含めてLotus Notesと呼ばれていました。歴史は実は古く、1989年の誕生なので、来年30周年を迎える製品です。
Lotus Notesのサーバー機能は、当初はIBMのオペレーティングシステムであったOS/2でしか稼働しなかったのですが、対応するプラットフォームを少しづつ増やし、Windows NTやUNIXなどのOSのサーバーでも稼働するように徐々になっていきました。
AS/400版 Domino(Native Domino)
AS/400版のNOTESも当初は、AS/400にインテルのチップが含まれたFSIOP(File Server IOProcessor)で稼働するAS/400版のDominoとして出荷され、実際私も出荷直前のバージョンを入手してIBM六本木事業所のAS/400にインストールして稼働確認などもした記憶があります。
しかし、その時のAS/400版のDOMINOは物理的なDISKはAS/400版のDISKを使ったのですが、CPUはインテルのCPUを使っていたので、本物のAS/400で稼働するDOINOではないと言われていました。
そのような経緯を経て登場したのがAS/400のプロセッサーで稼働するDOMINOだったので、AS/400 Nativeで稼働するDOMINOなのでNative Dominoと言われたのです。
当時は、販売管理、生産管理、会計などの基幹業務のサーバーとしてのAS/400は既に市場から認知されており、日経コンピュータ誌のお客様満足度でもダントツトップの満足度を誇るサーバーだったのですが、グループウェアのサーバーとしてのAS/400はどれだけメリットがあるのか未知数でした。
またAS/400はプロセッサーのクロック数のパフォーマンスが同じ程度のインテルのサーバーと比較するとマシンの価格が1桁高くなることが多かったので、提案するIBMやビジネスパーの営業も営業活動には慎重でした。
Domino Sizing
当時、IBMのロチェスター研究所に所属する社員が作成したAS/400班のドミノのサイジングの資料は細かい条件が多く、その資料を日本語訳された資料を見ても、どのようにして見積もって良いか判断が難しく、仮に正確に見積もったとしてのグループウェアの特性上、お客様が使う条件も変わる事が想定されたので、細かいロジックの積み上げでサーバーを決定するのは、本質的でないと思いました。(こういう場合はメモリーを4MB増やすなどのロジックもあったのです)
*1998年当時のサイジング資料は見つからなかったので、写真イメージの数年後の資料です。
有効メールユーザー
またモデルの見積もりに関しては、有効メールユーザーに基くサーバーの推奨モデルがあったので、それらを考慮に入れて、必要モデルを導く公式を考えました。
一発サイジング
まず、メモリーやプロセッサーの見積もりはワークロード別とクライアントの種類の切り口で、通常ユーザー、中間ユーザー、高負荷ユーザーとノーツクライアントからのアクセスなのかブラウザーからのアクセスなのかによって、すぐに必要メモリーが分かるようにしました。もちろんディスクも。
そして一番のポイントは、すべての情報を1枚にまとめた事です。
この表をお客様と一緒に見ながら、その場で必要なプロセッサーモデルやメモリーやディスク容量を見積もりし、その場で料金の概算見積もりのページに飛んでお客様に料金をお伝えする。
そんなことが可能になりました。
AS/400はインテル系のサーバーと比較すると、ハードウェアの料金が一桁違うので、その場で予算的に購入は難しいと判断されたお客様も多かったと思いますが、意思決定のスピードも格段に速くなったと思います。
そんな事もあり、AS/400版のNativeDominoのメディア出荷本数もAS/400手帳を発表した1998年には400本を超し、多くのお客様に活用して頂く事になりました。
1発サイジングは当時の多くのビジネスの意思決定のスピードを速くし、その後に同期入社のIBM営業に聞いた所、基幹サーバーが国産メーカーのお客様の所に訪問した時に、一発サイジングで情報系サーバーとしてAS/400を採用頂き、その後AS/400の安定性などに満足されたお客様が基幹系のサーバーとしてもAS/400を採用頂きサービス含めて10億円を超すビジネスを生み出したそうです。
DominoからWebSphereへ
そんな事もあり、情報系のサーバーとしてのAS/400をプロモーションする面白さを知ったので、その後IBMソフトウェアのスペシャリストになった後も、IBMのミドルェアをプロモーションする一方でAS/400もプロモーションする活動をしていました。
その後私自身がIBMのWebSphere事業部に異動になったので、AS/400版のWebSphereApplication Serverも色々な方法を用いてプロモーションする事にしました。
その辺の話は、次回したいと思います。